第5回 目標設定面接

以下は、財団法人関西生産性本部の機関誌「KPCニュース」2010年1・2月号での連載記事をウェブで公開しています。

人事諸制度入門講座 ~人事考課、評価育成面接、目標設定と動機づけ、日常のOJT~

1.概要

これまでの講座で人事考課の評価、育成の視点、コンピテンシーについて理解を深めてきた。この第5回目の講座では、先の評価とコンピテンシーや能力開発のポイントをどのように「目標設定」と連動させるか、その方法と面接での話し方を考察していく。目標設定は人事制度の運用の要である。適切に目標が設定・運用 されれば、評価の納得度を高めることや、部下育成が効果的にできる。言い換えれば、目標設定や変更を曖昧にすると、人事制度全体への不満が高まってしまう。制度と運用は車の両輪であることを意識されたい。念のため、今回も本年度の講座の全体像を再度下記に記すので、流れを確認して欲しい。(図1参照)

  • 第1回:人事考課入門
  • 第2回:人事考課ミニテスト
  • 第3回:評価育成面接
  • 第4回:コンピテンシーと育成
  • 第5回:目標設定
  • 第6回:OJTとコーチング

図1:講座の全体像

2.目標による管理の原理原則

目標による管理について、目的、概要とその進め方を考察していく。

1)目標による管理を活用する目的

目標による管理は人事制度運用の要である。人事考課を適切に機能させるには、優れた制度設定だけでなく、運用方法の確立も同レベルで必要である。年度末の評価で上司と部下の評価が食い違った場合、その原因は目標についての話し合いが不十分であることが多い。そもそも期待レベル(Bゾーン)の話し合いをしていなかったり、目標や担当業務の変更、追加などがなされても目標修正面接をせずに、曖昧にしていたりすることが多い。明確な目標設定が評価の納得性の源泉となる。目標の修正を曖昧にせず、期待レベルなどを明確に話し合って欲しい。目標による管理は、成果主義と連動して活用されるため、悪いイメー ジを持つ人も少なくない。しかし、何も目標がなければ、自分の業務の守備範囲も不明確になる。また何をもって評価するかというモノサシも持てない。

2) 目標による管理の概要(Management By Objectives and Self-control:MBOS)

管理目標による管理とは、マネジメント手法の1 つで、部下一人ひとりに自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を部下自らが、主体的に管理する手法である。1950年代に米国のピーター・ド ラッカー教授らが提唱したとされる。権限委譲や達成手段を本人の自己管理に任せることで、部下の主体性が発揮され、結果として大きな成果が残せるという考え方である。

しかし、成果を出すことに目標が置かれるあまり、「目標=ノルマ」と誤解されてしまった。また達成できなければ、一時金を減額するなど、給与の引き下げの代名詞として、乱用されてしまった。

目標による管理のポイントは、「どのような結果にするのか、決めてから仕事にかかれ」ということである。逆の言い方をすれば、自分の仕事内容や目標を定めなければ、評価はもちろん、日々の守備範囲も判らなくなり、むしろ現場を混乱させてしまう。

3.目標設定の進め方

1) 仕事を通じて、部下の育成・コンピテンシーを伸ばす事前準備

次の5つのポイントに留意して、目標設定を進めるための事前準備をすすめて欲しい。

  • ①部下の動機づけ
  • ②組織目標と個人目標の連動
  • ③目標の設定の手順
  • ④部下の能力と高い目標、低い目標
  • ⑤目標による管理とマネジメントサイクルの関係
① 部下の動機づけ

最も強い動機づけや達成行動は、自らの意思による。人は、自分がやりたいと思ったこと、興味・関心のあるものには、困難に直面しても、どうにかして成し遂げようとする。たとえば、「もっとゴルフがうまくなりたい」と自らの欲求に基づいて行動するとき、その達成行動は何よりも強く、万難を排して取り組むのである。仕事で言えば「ぜひその仕事を担当したい。」という意思が強い達成行動につながる。これを目標面接に置き換えると、業務分担は、なるべく部下の興味、 関心に即すことである。もちろん組織の事情から、部下に仕事を配分し、説得することももちろん必要である。しかし、部下が興味・関心を持っている業務や役 割を担当させることが最も有効な動機づけとなるので、可能な限り配慮されたい。これは部下のキャリア形成にも大きく影響する。このため管理職は、面接での 対話はもちろん、業務への取り組み姿勢などから、部下はどのようなことに興味や関心を示しているのか、日ごろから話をしたり、観察しておいたりすることが 大切である。また3年後、5年後、10年後のキャリアデザインについても、目標面接では明確に話をして欲しい。3年後のあるべき姿を実現するには、2年後はどのようなレベルの仕事をしているべきか、そのために今年は、何をすべきかを話し合って欲しい。このときにあるべき姿を実現するには、どのような能力やコンピテンシーが求められているかを目標管理シートの中で明文化して、相互に確認して欲しい。また先の育成面接で話された改善点は、最重要課 題として何よりも先に取り組んで欲しい。B評価項目をAに上げる前に、C評価をBレベルに引き上げることから育成して欲しい。部下の動機づけは、日々の声掛けも大切であるが、このような興味・関心を活かし、目標の中に能力やコンピテンシーを書き込む工夫がより大切である。

② 組織目標と個人目標の連動

残念ながら、部下の興味・関心だけでは、業務分担はできないので、管理職から目標を提示することも必要である。ここで組織目標から個人目標への連動のさせ方を考えてみよう。まず中期経営計画(3カ年計画など)で示された組織目標を事業部や、部門ごとに細分化して体制と役割を確認する。次に、その目標を所属する課やチームに落とし込み、課やチーム の3ヵ年の目標を確認する。そのチーム目標を個人の目標に反映させて、個人の3カ年計画のマスタープランとする。このプランを活かしながら、先にあげた個人の興味や関心を考慮して、目標の再配分や変更をする。このとき、部下の目標と上司の目標を同じにしてはならない。個人の目標の総和が、チームの目標であ る。またチームの目標が部や課の目標となるように設計しなければならない。上司の目標と部下の目標に相関や連鎖性、貢献性は持たせるものの、上司や部門目標と全く同じにしてはならない。つまり、個人目標が全て達成されたら、組織目標も同時に達成されるように設計する。(図2,3参照)

図2:組織目標と個人目標の連動
図3:目標管理シートサンプル
③目標の設定の手順

目標設定は、部下の欲求に触れる内容から話し合いを始め、次に組織マネジメント上必要な内容へと、展開させて欲しい。従来型のマネジメントは、管理職が「目標を作成・配分し、部下が達成するよう努力」をするという形態であった。それゆえ管理も部下の行動の管理が中心であった。目標による管理を機能させるには、支援的管理という考え方に変えなければならない。これは部下の欲求を喚起させるマネジメントである。やる気を起こさせるには、部下と一緒に目標を立てることである。そして部下に権限を委譲し、自己管理の幅をなるべく広げる。目標を管理するのではなく、目標により「部下のやってみたい」という気持ちを起こさせる。目標は与えるのではなく、組織目標と個人目標の連動を対話により合意する。そのときに達成することの意味や必要性について確認したり、理解させたりすることが成功の鍵を握る。また部下の目標と同時に管理職の支援内容と責任も明確にする。特に達成方法や手段は、部下に任せし、達成行動の高度化に知恵を出してもらう。もしかすると、あなたは部下からアイデアなど出てこないと思っているかもしれない。現状の認識や簡単なプランでも良いので、最初は部下の意見を述べさせることから、話し合いを始めて欲しい。(図4参照)

図4:「従来の管理」と「目標による管理」の違い
④部下の能力と高い目標、低い目標

目標は努力すれば達成できるが、手を抜くと達成できないレベルで設定することが好ましい。高すぎる目標に部下は不安になる。また低すぎる目標には不満を感じる。(図5参照)

図5:能力と目標の関係

しかし現実的には、このレベル設定が難しい。部下の資格等級や能力・コンピテンシーに応じて、等級以下、等級相当、等級以上(チャレンジ目標:第1回参照)の複数の目標で設定することが好ましい。また先の育成面接で確認にされた長所は、さらに伸ばし、不足しているスキルやコンピテンシーについて配慮した目標を設定する。この手順は、まず部下に、前年の感想と今期の希望を聞き、確認する。次に今期の目標、すなわち具体的な業務、到達基準(Bのゾーン)を明確、方法を合意する。その際、目標を業務と能力を区分して把握する。すなわち職務用件、職能用件・コンピテンシー:能力(原因)=結果(成績)であることについて面接を通じて、お互いに確認をする。また不足能力については、上司が支援するために、具体的な業務内容と支援内容を確認する。まれに達成が絶対不可能なほど高い目標だけを部下に課す組織がある。これは達成意欲がなくなるだけでなく、目標管理制度や組織全体への不信感を与えてしまうだけである。部下の目標達成には、管理職は支援するという仕組みを全階層に徹底すれば、無謀な目標設定にはならないだろう。やはり目標は、努力すればギリギリ達成できるようなレベルに設定することが最善である。

⑤目標による管理とマネジメントサイクルの関係

MBOを特別な理論と考えず、一般的なマネジメントサイクル(Plan-Do-See:PDS)の運用ツールであると捕らえて欲しい。最初はプラン。個人目標を定めるために、最初にすることは、経営計画から、課やチームの目標を定めることである。そして更に、個人の目標へと具体的に落とし込む。個人目標はその部署で果たすべき役割である。資格等級や経験、能力に配慮して仕事を配分されたい。次のドウとは、計画に沿って目標を達成させるための日々の業務遂行である。このとき管理職は、部下の仕事ぶりや進捗を観察しながら、必要に応じて支援をする。部下は目標に対して達成する責任がある。また管理職にはその支援をする責任がある。仮に自分の目標管理シートに部下支援と明確に書かれていなくても、管理職には必ず支援責任があると考えて欲しい。また部下に権限を委譲し、自分で判断してよい内容を明示することが重要となる。権限の委譲範囲を増加させることが、部下の育成とモチベーション向上につながる。つまり自分で判断することができる範囲が広がると、上司からの信頼感を感じ、また仕事への主体的な取り組みも向上する。言い換えれば、部下へ権限の委譲をしたり、任せたりしなければ、部下は成長しない。私の部下はマンネリで成長しないと嘆く管理職がよくいる。しかしこのような部下のマンネリは、権限委譲や任せることをしない管理職に原因がある。最後のシー、評価の基本は自己評価をさせることである。管理職からコメントする前に、まず部下の自己評価や改善策を尋ねることである。改善策を言うのではなく、質問して部下に答えさせることから始められたい。(図6参照)

2) 部下と目標を共有するための面接コミュニケーション技術

これまでは、目標設定をすすめるための準備を確認してきた。これからは、その準備された内容を、面接でどのように話を進めるべきか、管理職の態度、質問のしかた、達成方法の合意について学習を深めていく。

① アサーティブな態度で部下と接する

面接の際、部下とは、「一緒に考えよう、一緒にやろう」というアサーティブな態度で接しなければならない。対人対応の基本的立場として、「私もOKだ、あなたもOKだ」というスタンスだけが、健全な対人関係を維持できる。「私はOKだが、あなたはOKでない」というスタンスならば、面接で管理者は、部下をやっつける言動をとったり、仕事を押しつけたりしてしまう。これは人間関係の崩壊という対価を支払って、自分の思いどおりの行動を部下に強要してしまう。また管理職が昇進と異動が同時だった場合、新しい業務に慣れるまでは、部下に指示命令ができず、部下に頼るだけで何もやれない「私はOKでないが、部下はOKだ」という状態を生んでしまう。このときは前任の管理職や上級管理職に支援を求めて、適切に対応されたい。部下の目標を共有するには、「私もOK、あなたもOK」という状況が最も好ましい。(図7参照)

図7:対人対応の基本的立場
② 部下と質問形式で面接する

部下と面接をして目標を決める場合、管理職は指示命令を極力少なくする。管理職は、自分の言いたいことを質問に置き換えて、部下と対話をして欲しい。つまり「システムアーキテクト試験への再挑戦のために、部内で勉強会をヤレ」ではなく「システムアーキテクト試験の再挑戦の方法はどうする予定か?」と質問形式に置き換えることで、部下の自主・自発的な行動を強化することになる。部下は自らした発言には、責任を持つようになるので、行動の変容が起こりやすくなる。これを宣言効果という。良い管理職は、部下に多くの質問をしているのだ。

③ 目標達成の方法と期待レベルを合意する

目標は、手段、トピック、目的の3つを明確にして合意すべきである。人事評価を的確に運用する秘訣は、明確な目標設定である。過去の記事で既に説明をしたが、期待レベル(B のゾーン)を明確にすることが評価のブレをなくす最善の方法である。曖昧すぎる目標は機能しない。たとえば「総務の仕事」では曖昧すぎる。また基本情報技術者等の「資格を取る」は仕事ではない。つまり、「○×資格の取得を通じて、ABC社のサーバ管理業務の効率化の推進を図る」というように、手段<<○×資格の取得を通じて、>>+トピック<<ABC社のサーバ管理業務>>+目的<<効率化の推進>>の3つの要素を明確に目標設定することが好ましい。また目標達成の手段やスケジュール、中間検証、リカバリプランを検討するタイミングなどをあらかじめ相談しておくことが重要である。また部下の成長レベルに応じて管理職は、支援方法を変更しなければならない。その方法を図8に示す

図8:部下の発達レベルに合わせた支援

3.目標設定面接6つのステップ

評価育成面接を効果的に進めるには、前章で説明した面接コミュニケーション技術を6つの面接ステップに置き換えて部下と話をする必要がある。6つのステップのポイントを、IT企業を事例にその良い会話と悪い会話で説明する。(表1参照)

目標設定面接6つのステップ
  • 第1ステップ:リレーションづくり
  • 第2 〃  :部下の目標を聴く
  • 第3 〃  :管理者の期待を述べる
  • 第4 〃  :チャレンジを促す
  • 第5 〃  :目標とその計画を合意する
  • 第6 〃  :励ます
悪い例と良い例(表1)
ポイント・留意点 ステップ 会話例
1リレーションづくり
  • 話しやすい環境をつくる
    -聴く姿勢をとる。
    -信頼関係をつくる。
    -日常、過去の言動に触れる
(会話NG) 
(何も話さない) 
「あなたは遅刻が多いんだよ。どうにかならんか」 
「最近、弛んでいるぞ」 

(会話例OK)
「○×のプロジェクトは、よくがんばったよね」
「△□さんは、書類の整理が上手だね」
「異動して2年たったけど、今の仕事はどう?」
「最近の~はどうだ」(子供、趣味等)
「風邪なおった?」
2 部下の目標を聴く
  • 今期の目標などについて、部下がどのように考えたのか、まず聞く。
  • 前年度の課題(改善点、能力開発)について、最初に部下の意見を聴く。
  • 自主性を引き出す
(会話NG)
(うまく行かなかった業務の責任を追及する) ※部下の意見を聞かずに...ダメなところを列挙する)
「今期は、○△だったな」
「○×プロジェクトは、もっと□□すべきだったよ」
「後輩のA君と比べて、あなたは自覚が足りません」  

(会話例OK)
「目標について、まずは君の考えを聴かせてくれないか」
「○×のプロジェクトについてはどう」
「今期は、どんな業務を担当したい」
(→評価面接のときから尋ねておいて、連動させてください。必ずしもそのとおりに配分できないこともあるでしょう。可能な限り自主性を引き出してください。)  
「専門スキルの開発についてはどんなことを考えていますか」
「昨年うまく取得できなかったシステムアーキテクチャの資格取得については、今期どのように再挑戦しようと考えていますか」
3 管理者の期待を述べる
  • 来期の目標について、管理職の期待を伝える。
  • ]
  • 会社の目標、部やチームの目標と個人の目標の連動を説明・確認する。
  • 等級相当の目標を設定する(低いレベルの場合は、目標の立て方を工夫する。例:早く。後輩の指導をしながら)
  • 現状を超えるレベルの目標を設定する(等級相当の目標になるように工夫する)
  • これまでの業務履歴・経歴も参考にする
  • 目標に意味を持たせ部下のモチベーションを高める
     ①強みを更に伸ばす
     ②興味を生かす
     ③経験を生かす  
(会話NG) 
「あなたの担当は、○×です。」  
「まあ、来年も今年と同じでいいよな」  
「ここで話す目標なんて誰も達成できないんだから、まあ、適当で良いよね...」  
「他の仕事がしたいと、目標管理シートに書くな!今の仕事がしたいと書け。」
「筆圧を強く書くな/何も書いてくるな。人事が、最初になんて書いてあったか、後で透かして読むだろ。」  

(会話例OK)
「君には、○○という役割を担って欲しい」
「○○を△△のレベルで実現して欲しい」
「この業務は、組織として、...という意味があるんだ」
「来期は、新入社員のAさんの指導をしながら、ABC社のプロジェクトを担当して欲しいんだ。数年後にはあなたもマネージャになるのだから、仕事をしながら部下育成することを経験しておいて欲しいんだ。」
「あなたは、JAVAで何でも作れるので、そのスキルを部のほかのメンバーに広げて欲しいんだ。ついては月2回の勉強会を開催して...」
4チャレンジを促す
  • 部下の発達レベルに合わせて支援する。
  • 仕事を通じて能力開発・コンピテンシーの強化を進める
  • 結果責任=達成責任×支援責任
    <部下> <管理職>
(会話NG)
「みんな頑張っているんだから、お前もがんばれ。」
「手を抜くな、もっとできるだろ。オレは人を見る眼があるだ。わかるんだよ。」
「今期は、あなたの目標はプラス3000万円になったから...」  

(会話例OK)
「○○の仕事は、まだ無理だと感じているかもしれないけれど、君の△△の能力(コンピテンシー)のためにも、ぜひ取り組んで欲しいんだ。」
「運用やテストは君一人で大丈夫だけど、設計まで一人でするには不安だと思う。だから設計は私が支援するから、○×社の案件に挑戦してみないか?」
「このプロジェクトを遂行するにあたって、コンピテンシーの○○を意識して、△△というレベルに到達できるよう取り組んで欲しい。」
「会社の状況や部の目標達成状況が厳しいことは、あなたも知っているよね。厳しいながらも、成長が望めるクラウドの分野を伸ばして欲しいんだ。今期あなたに担当してもらい...私と一緒に3000万円を目指して欲しいんだ。あなたは、ITのスキルがあるけれど、これは新規なのでチャレンジ目標となる。他のメンバーでは、まだスキルや経験が不足しているので、あなたの力が借りたいんだ...」
「○×を実現するには、あなたの力が必要なんだ。君の力を借りたいんだ。」
5 目標とその計画を合意する
  • 具体的に合意し、その内容をシートに記入・書き換えをする。
     ①目標
     ②評価基準
     ③達成方法(含む、上司支援内容)  
    「手段」+「トピック」+「目的」を記述し、結果とプロセスの両面(成果主義)から業務を評価できるようにする  
  • 期待値(Bのゾーン)について、具体的に定量・定性目標を合意する
  • 重要度、配分時間などをもとに複数の目標のウエイトを確認する
  • 二人で考え、共に目標に取り込んでいく姿勢をとる
(会話NG)  
「では、○を△して、□を...してください。」(細かく指示し過ぎはダメ。新入社員、異動直後の人を除く)  

(会話OK)
「原価管理については、もともと条件が厳しいので、±2%が期待レベル(B)でいいね」
「今期の3つの業務のウエイトは、5:4:1でよいね」 ――――――――――
「このプロジェクトの最大の課題は、何だと思う?」
「帳票の整理です」
「帳票の整理の打ち合わせは、あなたに任せることはできるのかな」
「昨年も他社で経験がありますので、大丈夫だと思います。/経験が不十分ですから、課長のアイデアも頂きたいので、ご協力をお願いいたします。」
「わかった。あなたは、ある程度はできるようだから、まずは、お客様とあなたで打ち合わせをして整理してください。/決定前に1回は相談に来てください。」
6 励ます
  • 期待を述べる
  • 激励する
  • 孤立感を与えない
  • 報告・連絡・相談の活用
  • 期初だけでなく、1年間計画を意識して、常に励ます
(会話NG)  
「あとはよろしく」
「無理だと思ったら、無理なんだから、気合だよ。キ・ア・イ」
「手を抜くなよ」 
(会話OK)
「では、よろしくお願いします。あなたのことはいつも気にしています。」
「君には、ぜひアプリケーションエンジニアの資格を取ってもらい、そのノウハウを業務に活かして欲しい。期待しているよ。」
「あなたは、あと数年でマネージャ(昇格する)になると思う。だから今期の業務は、上位等級を意識して取り組んで欲しい。担当者としての眼だけでなく、マネージャとしての眼を意識して欲しい。いつでも相談に乗るよ」

まとめ

目標設定が、人事考課や育成で最も重要であることがこれで確認されたと思う。仕事を用いて、能力開発、コンピテンシー伸張を話し合って欲しい。次の最終回では日常の対話、部下支援、OJTなどをみていく。

もっと詳しく勉強する

WEB講座