第3回 ロジカルライティング ~7つのルールで、一読で理解できる文章を書く~

以下は、財団法人関西生産性本部の機関誌「KPCニュース」2008年9・10月号での連載記事です。

はじめに

第2回では、ロジカルに考えるための思考のツール「三角ロジック」を紹介した。今回は、一読で理解できる文章の書き方を紹介する。(図1参照)季語の選び方や、語句レベルを学習する従来の文章講座は全く役に立たない。ぜひ本稿の内容を修得し、スキルアップして欲しい。下記の本論を読む前に下記の2つの研修報告書を読み比べて欲しい。そしてその文章に書かれている内容:研修で何を学んだのかを読み取って欲しい。

報告書A
  • 2日間のディベート研修を受講した。自社には同期入社が私を含めて2人しかいないので、多くの新入社員と議論する機会はなかなかありませんでした。
  • 今回は様々な業種から集まった多くの方々とグループを通じてさまざまな議論をすることが出来ました。
  • また他社の状況や業務方法等も伺うことが出来て、大変刺激を受けましたし、自分の自社・仕事に対する認識・想いを再確認することが出来たので、今後成長が出来るだろう。
  • この研修ではグループで議論を頻繁に行いますので、自然に意見交換が出来ましたので、すぐにうち解け人脈を広げることができました。
  • この研修を通じて学んだ重要なことはコミュニケーションの大切さです。自分ではできる方だと思っていたんですが、グループで議論をして意見を集約して、意思統一を行う作業はけっこう大変でした。
  • 実際の業務においてコミュニケーションが不十分で重要事項が伝達されていなかったり、意思統一がなされていないと大変な事態になるかもしれません。
  • タバコがディベートのテーマだった時などは、自分がタバコを吸うので、自己中な議論になり、みんなに迷惑をかけてしまったかもしれません。
  • 試合の際にも、連絡の不徹底から発表内容に齟齬をきたしてしまうことがありました。
  • やはり講師の方が言っていたように報告・連絡・相談が大事だと思います。
  • ディベートを行う際に最も重要なことは、論理的思考で物事を多角的・多面的に捉え、短時間でポイントを整理し、感情的にならずに相手(審査員)を説得していくことであるとのことでしたが、演習問題や試合を通じて私はこの論理的思考がまだ十分に出来ていないということを痛感しました。
  • 物事の本質部分まで突き詰めて考えていかないとどうしてもうわべだけの議論・水掛け論になってしまいます。
  • 私はどうしても自分にとって都合の良い方・簡単な方から物事を考えてしまう傾向があるので、もう一方の立場から物事を検討することを今後は徹底していきたいと思います。
  • また、私は短時間でポイントを整理するのが苦手で試合の際には悪戦苦闘しましたが、何回か試合を行ううちに「聞きながら考える」コツのようなものを掴むこと ができたので、今後の会議やプレゼンなどの際に積極的に活用していきたいと思います。そして時間の貴重さを改めて認識しました。
  • ディベート研修自体が非常に濃密で、僅か2日間でしたが多くのことを学ぶことが出来ましたし、ディベートの試合を通じて2〜3分の短い時間でも多くのことが出来るということを体験しました。
  • また、参加者の皆さんのオフタイムの利用方法等もつぶさに拝見して、自分ももっと時間を有効に利用すべきであると反省した次第です。
  • 今後は今回の研修で得た経験を活かして今までよりもさらに自信を持って仕事をさせていただきます。
報告書B

2日間のビジネスディベート研修を受講いたしましたのでご報告します。今回の研修で私が得たものは、多角的視点、コミュニケーション、時間管理の大切さです。

  • 1 点目の多角的視点とは、様々な立場から問題を見ることです。演習問題や試合を通じて、自分自身この多角的視点がまだ身についていないことを痛感しました。 私は自分に都合の良い方・簡単な方から物ごとを考える傾向があります。物ごとの本質まで突き詰めて考えないと、うわべだけの議論・水掛け論になります。今後の業務では、賛成論、反対論の根拠をしっかり受け止め、思考することを徹底したいと思います。
  • 2点目のコミュニケーションとは、組織の中での意思伝達と合意形成です。グループで意見を集約する作業は予想以上に困難でした。施設内の禁煙についてグループで議論したときは、論理よりも感情が先走り、意見集約に時間がかかりました。また連絡の不徹底から発表内容が矛盾することもありました。実際の業務においてコミュニケーションが不十分で重要事項が伝達されません。また感情的になってしまうと、適切な接客やサービスが提供できません。今後の業務では、接客や報告・連絡・相談などで、話の内容や求めている本質を理解できるように、意識したいと思います。
  • 3点目の時間管理とは、時間を効率的に使って作業を進めることです。ディベートの試合を通じて2〜3分の短い時間でも多くのことが出来ることを体験しました。私は短時間でポイントを整理するのが苦手なので、演習では悪戦苦闘しました。しかし何回か演習すると、「聞きながら考える、ポイントを整理する」コツをつかめるようになりました。今後の業務では、短時間で集中して思考するノウハウを、日常の業務はもちろん、会議やプレゼンに積極的に活用したいと思います。

以上、今回のビジネスディベート研修は、多角的視点、コミュニケーション、時間管理の3点が、仕事をしていく上での有益なツールとなりました。今後は実務の中で、研修で学んだ内容を忘れずに、活用したいと思います。

ツール概要

さて、あなたはA君とB君の両名の報告書の主旨が理解できたであろうか。A君の報告書では何を学んだのか理解しづらい。それに対してB君の報告書では、あなたは3つの主旨を迷わず回答できるだろう。わかりやすい文章を書くためには、守るべきルールが7つある。しかし誌面の都合上、今回は必須の3つのルールを 中心に紹介する。すなわち1.総論を書く、2.段落ごとに情報を整理して書く、3.段落の先頭に要約文を書くことを守って欲しい。以下にそのルールと例文を示す。例文ではルールをどのように反映させているかに注意して読んで欲しい。

ルール1:総論を書く

  • 文章の全体構成は、「総論」、「各論」、「まとめ」で整理する。
  • 文章の最初に総論を書く。総論は、目的と要約を書く。
  • 目的のパートは、「現状または背景」「問題点または必要性」そして「目的」の順で書く。
  • 要約のパートは、要約文とそれを支える重要な情報を列挙する。
  • 30秒で書き手の主旨がわかるように、簡潔かつ具体的に書く。(図1:文章の基本構成参照)

図1:文章の基本構成

図1の様式で書いた文章の例をみてみよう。

例文で有効性の確認1

目的のパート
(現状または背景)家電リサイクル法が2001年度から施行される。(現状の問題点または文書の必要性)当社は対象製品を製造しているので、担当者以外の一般社員にも家電リサイクル法を周知してもらいたい。(文書の目的)そこで、家電リサイクル法の概要についてまとめたので報告する。
要約のパート
(結論または最も伝えたいこと)家電リサイクル法とは、住環境および地球環境保全のために、電気製品のリサイクルを義務付ける法である。(重要な情報A)家電リサイクル法では、廃家電の引き取りとリサイクルをメーカーに、その費用を消費者に負担させる。(重要な情報B)廃家電の不法投棄を防止するために管理伝票制度が導入される。(重要な情報C)家電リサイクル法の問題点として、回収費用をメーカー側が一方的に算定できることが指摘されている。

例文で有効性の確認2

目的のパート
(背景)任天堂が昨年売り出した「ニンテンドーDS Lite」が、販売日が平日にも関わらず大型家電量販店などで行列が前夜からでき、即日完売というニュースに衝撃を受けました。(必要性のみ)そこで、今後の企画の参考にするために、(目的)ニンテンドーDS Liteについて簡単にまとめて報告します
要約のパート
(結論)大ヒットした理由は、今までゲームに振り向かなかった2つの層を新しい顧客として引き込んだことです。 (情報A)第1は、タッチペンを使う分かりやすい操作性が、普通のユーザーに受け入れられたこと。(情報B)そして第2は、「脳を鍛える」ソフトが中高年の、そして「おいでよ 動物の森」などのソフトが女性の心を掴んだことです。

ルール2:段落ごとに情報を整理して書く

  • 文章のテーマを確認し、書くべき情報を想起する。
  • トピック・要素ごとに、情報を分類する。
  • 情報の接続順を考え入れ替える。
  • 的確な順にトピックを並べ、文章化する。
  • トピックが変わったら、段落を変える。それ以外は改行してはならない。
  • 思考のブロックと、文章のブロック(=段落)を一致させる。(図2参照)

図2:段落を使って書く

例文で有効性の確認

読み比べをしたB君の文章は、第2段落が、「多角的視点」、第3段落が「コミュニケーション」、第4段落が「時間管理」というトピックで分類、整理されている。反面、Aの文章は不規則に段落が作られている。

ルール3:段落の先頭に要約文を書く

  • 要約文は、それだけで言いたいことが分かるように具体的に書く。「~を以下に述べる」というのは、要約文としては不十分である。
  • 段落内は、「要約文-説明の文-まとめの文」で構成する。
  • 説明の文は、データや理由を用いて論証したり、事例を述べたり、言いかえたりして、内容を強調する。
  • 要約文の主語/主体は、その段落のキーワード・トピックにする
  • 要約文のトピックは1つだけ。要約文が2文になってしまうなら、段落を分割する。
  • 総論やまとめでは要約文を先頭に置く必要はない。

例文で有効性の確認

読み比べをしたBの文章の各論では、各段落の第1文が要約文:何を学んだかという主張となっている。また第2文以降が事実、第3文が考察、第4文が今後の業務での活用について記述されている。

補足

残りの守るべきルールを簡単に紹介する。(図3参照)より詳しく学習されたい方は、弊社のロジカルライティング研修を受講されたい。

図3:ルール4〜7

まとめ

一読で理解ができる文章の書き方の基本が理解できたであろう。もちろん正しい日本語を書くことも大切である。なお正しい日本語、敬語を書くことについては、平成19年2月に文化庁より『敬語の指針』が発表されているので参照されたい。「させていただく」など不適切な用例が多数記されている。現在ならホーム ページより簡単に入手できるだろう。次回は、ロジカルに書かれた内容に、訴求力を持たせるプレゼンテーションのスキルを学習する。

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