第4回 ロジカルプレゼンテーション ~聞き手のニーズを的確につかみ、提案する~

以下は、財団法人関西生産性本部の機関誌「KPCニュース」2008年11・12月号での連載記事です。

はじめに

プレゼンテーションは営業だけが必要なテクニックだと勘違いしている人が多い。しかしこのスキルが必要なのは、会議で説明をする人、お客様からの問い合わせに回答する人、つまり誰かに、自社の商品やサービスなどを話すことがある人、全員である。プレゼンテーションを成功させる最も重要なポイントは、聞き手のニーズを的確につかみ、自分の考えていることを相手に理解・納得してもらい、必要な行動へとつなげることである。これにはロジカルな情報展開と根拠明示が欠かせない。

スキルポートフォリオ

手順概要

本稿では、まず聞き手のニーズをつかむ方法として、情報分析の方法を学ぶ。次に、聞き手のニーズに沿った論理の組み立てを確認し、最後にどのように人前で話すかというプレゼンテーションのテクニックについて、実際の準備手順に沿って解説する。(図2参照)とはいえ、情報分析と組み立ての多くの部分は、ロジカルライティングで説明をしているので、なるべく重複せぬよう話し方やスライド構成などを中心に説明していく。前稿と併せてご覧いただければ幸いである。ま た読者諸兄から戴いたプレゼンテーションに関するご質問についても回答する。

図2:ロジカルプレゼンテーションの全体像

手順1:聞き手のニーズをつかむ情報分析

目標と聴衆の2つを軸に、どのようなプレゼンテーションの内容にすべきかを決める。この考え方はすでにロジカルライティングの稿で説明した。つまり総論の情報を的確につかむことである。総論は目的と要約のパートから構成されていた。目的のパートでは、現状もしくは背景、問題点または必要性、目的を理解することであった。特に問題点や必要性を意識することで、説明する核心をつかむことができる。前稿のニンテンドーDS Liteを再掲し、確認してみよう。以下の例文は、必要性(企画の参考にするために)を的確に反映しているので、DS Liteのヒット理由という説明になっている。もし依頼者のニーズである必要性を酌むことができなければ、仕様など漠然とした説明になってしまうだろう(図3右側参照)。あなたのプレゼンテーションが誰かに依頼されたものでも、自発的な提案であっても、あなたの発言の冒頭は、総論の要素に沿って始めて欲しい。これで、だれが聞いてもわかるプレゼンテーションになる。(図3参照)

図3:わかりやすい構成と総論の例

手順2:説得力あるストーリーを組み立てる

組み立てには、一度聞いてすぐわかるプレゼンテーションのストーリー構成、明確な根拠、そしてわかりやすいスライド作成が大切である。

話の組み立ては、ライティングで学習した「総論-各論―まとめ」という構成(図4左側参照)である。一度説明しているので詳しい内容は割愛する。明確な根拠を示す方法は、ロジカルシンキングで学習した三角ロジックが有効である。この三角ロジックは、人を説得するに必要な3つの要素:根拠の理解、事例の理解、手順の理解(第1回参照)の根拠の理解を促すツールとして有効である。以下に商品やサービスを訴求したりする例を示す。(図4参照)三角ロジック以外にも、マトリクスで情報を整理することも有効な方法である。(第1回参照)

図4:三角ロジックで主張に根拠を添える

手順3:力強く話す

聞き手に納得してもらうためには、プレゼンターの声が重要である。ニーズを的確につかみ、スライドもわかりやすく作成できても、自信のない話し方には誰も納得しない。自信の感じられる話し方をするには、発声、ボディランゲージ、対話の3つが大切である。プレゼンテーションが成功するイメージが持てるまで、声を出して繰り返しリハーサルして欲しい。声に出すことで話のつながりがおかしいことに気がつくことが多い。黙読ではわからない。

発声では、ボリューム、トーン、スピードの点から説明する。会場で声の大きさを決めるには、第一声を一番遠くにいる人に向かって「皆さんこんにちは...」などと挨拶をすることである。一番遠くの人に話しかければ、他の人は全員、声が聞こえる。声のトーンは普段どおりにする。結婚式の祝辞のように硬くならず、普段の言葉で聞き手に話しかけることが、聞き手もあなたもリラックスできより深い理解ができる。スピードは、1分間に300〜350文字(漢字かな混じり)を目安にする。早口は意味がわからなくなる。全部述べるのではなく、聞き手が要点を理解できるように、ストーリーや構成を意識してある程度ゆっくり、重要な項目は繰り返したり、間を取ったりして話すことを心がける。ある自動車会社の研修でのエピソードとしてこんなことがあった。15分で社長にプレゼンテーションをすることになり、担当者は目いっぱいスライドを作成し、早口で説明した。話を聞き終えた社長は、「Too much(多すぎだよ)」とだけいい、彼の考えに触れることはなかった。この事例からわかって欲しいのは、自分中心で話さないことである。聞き手の理解スピードなどを考えなければ努力は無駄になり、結局、自分が一番損をすることになる。

ボディランゲージが豊かで、表現力が高いことに越したこ とはない。しかし役者ではないので、そのようなトレーニングもしたことがない方がほとんどであろう。そこで、ボディランゲージで聞き手に不快な印象を与えないことが最も大切である。ボディランゲージでしてはならない7つの行為(図5参照)をみていく。

図5:ボディランゲージ...姿勢DON'T

  1. 足を引きずる:だらしない印象を与える。特にサンダル履きでズルズル歩くことはやめよう
  2. 片足重心:同様にだらしない印象を与える。片足重心はむしろ疲れる
  3. スイング:ふらふらと落ち着きのない印象を与える
  4. 手をついて話す:テーブル、机に手をついて寄りかかっているとやはり印象が悪い
  5. 手をポケット:偉そう、傲慢な印象を与える
  6. 腕組み:何かを拒否しているように見え、否定的な印象を与える
  7. 手を前・後ろに組む:手を後ろに組むと偉そうに見える。前に組む姿勢は人の話を聞く場合にすべき姿勢である

対話、つまりあなたが話をしている途中で誰かに質問をすると、聴衆をより内容に引きつけることができる。次のことを思い出して欲しい。絶対あたらない授業では睡魔がやってくる。しかし毎回あてられる授業は、緊張感を保ち寝ている暇などない。ましてや、いつあてられるかわからないと思えば、聞き手はプレゼンターの発言に常に注意を払うことになる。会議でも一方的に話すのではなく、たまに誰かを当てて意見を述べさせることは有効である。

読者からの質問への回答

Q:説明違い(言い間違い)を気づいた場合に、うまく修正する方法があれば教えてほしい。

A:率直に間違えたことを述べ、詫び、正しい説明をしてください。ごまかしたり、次のセッションなどで適当に言い替えたりしないでください。ごまかすと信頼がなくなってプレゼンも成功しません。

Q:どうしても早口になってしまう。

A:まずメモが取り終えているかをしっかり見て、ペースが速くないか確認してください。次に、早口のあなたは、ぜひ誰かを選んで、目を見て話しかけるように説明してください。プレゼンでもっとも重要なのは何が伝わったかです。自分のペースではなく、相手のペースを見てください。聞き手の目を見ていると、話すスピードが速いか、ちょうどよいのか気がつくでしょう。

Q:相手に時間がなさそうな時、どの程度、合わせれば良いか教えてほしい。

A:会議やアポイントの時間から推測しましょう。プレゼンをするためのアポイントも開始と終了時刻を確認しておきましょう。最悪でも当日、話を始める前に何時までお時間があるか相手に尋ねてからプレゼンを始めましょう。もし忘れていたならば、まず簡単に短く応えます。そして相手にもっと詳しい説明が必要か、質問してください。

Q:「質問して欲しい箇所」に関し、質問を呼び起こす術

A:その場所について、プレゼンターから聞き手に呼び水となる質問をしてください。○×についてはどのようにお考えですか?と誰かに尋ね、回答してもらいます。その後に、「私は、△△と考えます。皆さんはいかがですか?」と再度相手に尋ね、その箇所の深堀をしてください。

Q:相手の質問の本心を知るためにはどうしたらよいか?

A:駆け引きをせず、相手と信頼関係を作ることが近道です。しかし相手のガードが固い場合は、相手の質問を復唱した上で「つまり...、ということは...」というように、先を促す接続詞を述べることで、更に話がすすむことがあります。

Q:聞かれたくない事柄について、ごまかしたと思われないように、話をすりかえる方法は?

A:ありません。ごまかさずに「痛いところを指摘されてしまいました。」と率直に述べ、可能な限り、そして誠実な回答することをお勧めします。ごまかしや不誠実な態度に、人はとても敏感です。

まとめ

限られた紙面ゆえに、聴衆の属性による内容分析など重要な項目を割愛してしまった。これらは、公開講座では省略せず講義をしているのでより詳しく学びたい方はぜひ受講いただきたい。連載も終盤になってきた。次回はロジカルに会議をするための方法を学習する。

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