第2回 ロジカルシンキング ~三角ロジックで主張に根拠を伴わせる~

以下は、財団法人関西生産性本部の機関誌「KPCニュース」2008年7・8月号での連載記事です。

はじめに

第1回で「ロジカルに考えること、話すこと、書くことなどには、各種の道具やルールがある。」と説明した。今回は、自分の意見に明確な根拠を示すために、そのツールである三角ロジックを紹介する。実は、ほとんどの人が、すでにロジカルに考えている。しかし他人に説明するときに、どのような情報をどのような順番で説明するとわかりやすいかが、わからない。本稿では、根拠を明確に示すためのツールを具体的に学習する。

ツール概要

自分や相手の意見を整理するために、三角ロジック:主張、データ、理由づけの3つに分類する。(図1参照:三角ロジック)主張とは、自分や相手の言いたいことや結論である。データとは、事実、数値、一度証明された主張である。理由とは、主張とデータをつなぎ合わせる考え方、判断基準である。またデータと理由づけの2つを総称して一般的に根拠と呼ばれている。

図1:三角ロジック:思考の構造

事例1:主張に根拠を伴わせる

普段から私たちはロジカルに考えていることを次の事例で考えてみたい。時代は第一次世界大戦期。ドイツ軍がパリを砲撃するために製造した超巨大な列車砲があった。これまでの爆撃は、パリ各所(図2参照)にあり、市民を震え上がらせていた。また砲撃されるとの情報があり、あなたは逃げだそうとした。

図2:過去の爆撃地点と逃げる方向

では、あなたはA~Dのどこに逃げるか?その理由はなぜか?(あなたもお考えください。自分なりに回答を考えたら先に読み進めてください。)

解説1

選んだ記号が、あなたの主張、事例そのものがデータである。このように主張、データ、理由づけの3点を順に説明すれば、ロジカルな説明ができる。さまざまな意見、結論がさまざまな理由から導き出されたであろう。たとえば、Aは爆撃されたことがないから安全だろうと考えたり、Bはもうこれ以上爆撃して来ないだろうから、あえてBを選択するという判断もあったりしたであろう。いずれにしても、主張、データ、理由が連続して説明され、一理あると考えられるなら、それでロジカルに考える第一歩はできていることになる。ちなみにこの巨大砲は実際に使用されることはなく、精度は都市のどこかを狙えるという程度であった。
ドイツの目的は、パリ市民を心理的に攻撃することで、都市そのものを破壊することではなかった。

ツール応用活用1

現場では、理由づけをより深く、確実に理解し、的確に活用したい。以下のケースは理由づけの妥当性をより深く理解するために考えて欲しい。

事例2:理由が妥当であるか、検討する

ある市が、中学生895人に対しアンケート調査をした。「毎朝、朝食を食べますか」「大根、ごぼうなどの根菜類を週3回以上食べていますか」を尋ねたり、「切れやすい性格ですか」なども答えてもらったりした。

食生活の良し悪しで5グループに分けた結果、食生活が最も悪いグループの大多数が「自分は切れやすい」などと答えた。このことから、食生活が悪いと切れやすくなるので、中学生への食事指導は重要であることがわかった。

上記が不成立であると、有用な反論をせよ。(あなたもお考えください。自分なりに回答を考えたら先に読み進めてください。)

解説2

これらのデータからは、相関関係は見えるが、因果関係は導き出せない。相関は、あくまでも関係を計測しているに過ぎない。また、確率変数間の因果関係を説明するものでもない。相関関係と因果関係というのは意外と混同されることが多い。例えば、ビールを飲むとお腹が出ると言うが、ビールを飲んだからといって必ずお腹が出るわけない。原因は食べすぎなどカロリーオーバーである。摂取カロリーが多すぎれば、太る。これには因果関係がある。しかるに上記では相関関係と因果関係と取り違えて結論を導き出していることになる。

ツール応用活用2

さらに、思考や分析のレベルも並列に示したい。並列に示すためには、同じ種類の情報を同じ形で展開させるとよい。

事例3:思考や分析のレベルを揃える

以下は日本の中学生の学力低下についての原因分析である。1つだけ分析のレベルが低い設問があるがそれはどれか、またその理由はなぜか?(あなたもお考えください。自分なりに回答を考えたら先に読み進めてください。)

  • A. 日本の中学生は他の国の中学生に比べ勉強時間が短い。
  • B. 少子化が進んだので受験勉強をしなくなった。
  • C. 携帯電話やゲームの普及により高校進学後の勉強への熱意が足りない。

解説3

分析が低いのはA。Aは原因の記述がなく、結果のみの記述である。BとCはいずれも原因の記述がある。たとえば「~ので~」「~により~」というように原因と結果が後述の2つはセットになっている。しかしAは結果のみである。ロジカルに考えるときは、このように分析のレベルにも注意を払う必要がある。この ケースは、一文にデータ(原因)と主張(結論)が示されている。主張、データ、理由づけの3つの文で構成されることもあるが、一文で、データと主張が示されることもある。

まとめ

三角ロジックの理解と検証方法が理解できたであろう。第3回はロジカルに考えた内容を的確に文章化する方法を学習していく。

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